總持寺 / 神奈川

総持寺


◆總持寺の由来

總持寺の正式名は諸嶽山總持寺で、由来は700年以上昔にさかのぼります。

現在、能登半島の輪島市である櫛比庄(くしひしょう)に諸嶽観音堂(しょがくかんのんどう)という観音様を祀った御堂がありました。

元亨元年(1321)4月18日、諸嶽観音堂住職の定賢権律師の夢枕に観音様が現れ、「酒井の永光寺に瑩山という高僧がいるので、この寺を譲りなさい。」と告げました。

その5日後の明け方、瑩山禅師は、能登の永光寺、方丈の間で坐禅をしていた時、同じお告げを聞きました。

瑩山禅師は、諸嶽観音堂は真言律宗の教院でしたが、禅寺にしたいと願っていました。夢のお告げに従い、諸嶽観音堂に入山するため門前に進みました。

何故か、たくさんの僧侶と住職・定賢権律師が出迎えています。住職の律師が見た夢によるものでした。

このようにして、瑩山禅師は、定賢権律師の入山要請を受けいれ、諸嶽観音堂に入院しました。

瑩山禅師と定賢権律師は、ともに夢のお告げが一致することに感激しました。

律師は霊夢で一山を寄進し、禅師は快く拝受し「霊夢により總持寺と名づける」と言いました。

そして寺号を「總持寺」に改め、山号は諸嶽観音堂の仏縁にちなみ「諸嶽山」としました。

翌元亨2年(1322)、後醍醐天皇は、臨済僧・孤峰覚明和尚を用いて、總持寺に10種の勅問を下しました。

これに対する瑩山禅師の答が帝を感動させ、同年、總持寺は曹洞衆の有力な道場に任命されました。

更に、藤原行房卿の命令で、「總持寺」の三字が記された扁額が送られました。

總持寺は官寺になり、曹洞宗の大本山と認められました。

総持寺

瑩山禅師によって開創された大本山總持寺は、約13000の寺院を統轄し、宗門の興隆と正法の教化につとめました。

約600年間、總持寺は能登にありましたが、明治31年(1898)4月13日夜、本堂から出火し、猛火はまたたく間に拡がりました。

そして、慈雲閣、伝燈院以外のすべての伽藍を焼失してしまいました。

本山貫首・石川素童禅師は、總持寺復興を兼ね、明治44年(1911)、總持寺を東京に近い神奈川県鶴見区に移しました。

◆總持寺について

曹洞宗の宗派長を「管長」といい、大本山永平寺と大本山總持寺の貫首(住職)が2年ごとに交互に就任します。

また、系列の大学も、永平寺系の駒澤大学・東北福祉大学、總持寺派の愛知学院大学・鶴見大学に二分されています。

現在、全国の曹洞宗に所属する寺は、永平寺派の「有道会」と總持寺派の「總和会」のどちらかに所属しています。

このように曹洞宗は、永平寺と總持寺のツートップなのです。

◆總持寺の見どころ

敷地面積は約50万平方メートルあり、大本山の名に相応しく広大な土地に多くの諸堂が立ち並んでいます。

仏殿、大祖堂をはじめ多くの堂宇や鶴見大学や總持学園などの学校施設があります。

1911年(明治44年)に石川県から神奈川県に移転してきた寺院なので、堂宇の大部分は近代建築物になります。

大祖堂、三門などは戦後に建立された鉄筋コンクリート製ですが、仏殿などの主要建築物は大正時代から昭和初期の木造建築物です。

総持寺

また、横浜市で起こった鉄道事故・桜木町事故(1951年)と鶴見事故(1963年)の慰霊碑があります。

三松関(さんしょうかん)は總持寺の総門です。

扁額には、三樹松関(さんじゅしょうかん)と書かれ、總持寺の中興の祖である石川素童禅師の作です。

三松の名は、能登・總持寺祖院に龍の形をした三本の松があったことに由来しています。

三門(さんもん)は1969年(昭和44年)に完成したもので、鉄筋コンクリートの門として日本一の大きさを誇っています。

左右には金剛力士(仁王)像があります。

三門楼上には、瑩山禅師が、能登に開山した時、三門楼上に僧形の観世音菩薩像、地蔵菩薩像を安置したことにちなんで、観音地藏の放光菩薩像と十六羅漢像、四天王像が祀られています。

三松閣は、平成2年に完成した檀信徒研修道場です。

全国の檀信徒の宿泊や大講堂など、研修の施設があります。

香積台(こうしゃくだい)は総合受付で、拝観、法要、参拝などの受付を行っています。

売店や休憩所があり、この中には大きな「おしゃもじ」と「すりこぎ」があります。
「香積」とは、香気が充満している世界のことです。

維摩経香積品では、そこに住む如来の名となっており、これが転じて禅門では食事を調理する庫院(くいん)、庫裡(くり)を意味します。

総持寺

待鳳館(たいほうかん)は總持寺の迎賓館です。

紫雲臺(しうんたい)は、禅師が全国の寺院や檀信徒と正式に相見される場所です。
紫雲臺に面する日本庭園の紫雲庭(しうんてい)は、広さ約500坪の池泉回遊式庭園です。

大祖堂(瑞応殿)は、日本一の大きさを誇る本堂で総持寺最大の建物です。

高さ36メートル、内部は千畳敷です。瑩山禅師、道元禅師、峨山禅師をはじめ歴代の諸禅師の頂相を安置し、諸尊牌を奉祀する霊場となっています。

◆總持寺の基本情報

住所:神奈川県横浜市鶴見区鶴見2-1-1
電話番号: 045-581-6021
アクセス:JR京浜東北線[鶴見駅]西口より徒歩(約7分)
京浜急行線[京急鶴見駅]より徒歩(約10分)
總持寺 公式サイト
総持寺についてもっと知る