弥彦神社 / 新潟

弥彦神社

◆弥彦神社の由来

弥彦山は、古くから「いやひこさま」と尊称された神奈備です。

神奈備とは、古神道でいう神様が住む場所のことです。
古代人は、海の中や山の山頂の上に先祖の霊が集まる常世国があると信じていました。
この常世国が、神様になったのが神道なのです。

弥彦神社 手水桶

常世国が山の上にある場合、山そのものが神様であると見なされ、神奈備、神体山と呼ばれるようになりました。
古神道には神社がなく、大自然の中で神様である山そのものを拝んでいました。

やがて、神社が建てられるようになります。
まず山頂に社(奥宮)が建てられ、山頂まではいけない人も居るので、山の中腹に山宮が作られます。
さらに、住宅地に里宮が造られる場合もあります。

弥彦山にも奥宮が建てられた後、山宮が建てられました。
これが越後国一宮の彌彦神社です。
昔から新潟開拓の神様として信仰を集めています。

弥彦神社

◆祭神について

祭神は、アマテラスのひ孫にあたる天香山命(アメノカゴヤマノミコト)です。
ニニギと天道日女命(あめのみちひめ-)との間に生まれた神様で、尾張氏の祖神とされています。
物部氏の祖神である宇摩志摩治(うましまじ)とは母を異にする兄弟神です。

また、ニニギが天から降りた天孫降臨において、ニニギのお供をし、その後紀州熊野に住みました。
神武天皇東征の際、フツノミタマの剣を献上しました。

神武天皇が国家統一をし、大和の橿原宮で即位した4年後、越後開拓の命を受けます。
日本海を船で下り、越の国の野積浜に上陸しました。

漁民に海水から塩を作ることや網、釣針を用いて魚を獲る術を教えました。
弥彦に鎮座し住民に稲作を指導しました。

さらに、越後地方の産業文化の基礎を造り、越後開拓・文化産業の始祖神となっています。

弥彦神社

◆弥彦神社の見所

大鳥居
弥彦と吉田を結ぶ県道29号線上、矢作駅近くに立つ大鳥居は、昭和57年、上越新幹線開通記念で建てられました。
高さ30mの大鳥居で建立時は日本一、現在は日本第三位です。

一の鳥居
一の鳥居は、中央の柱が数センチ浮いています。
雪による腐食を防ぐためとも、地震で倒れないようにするためともいわれています。

玉の橋
一の鳥居を越えると、左手に朱色の玉の橋があります。
この橋は、神様が渡るもので、構造上と信仰上の理由で参拝者は渡れません。

二の鳥居
二の鳥居で表参道と東参道(駐車場・競輪場方面に伸びる参道)が合流します。
鳥居をくぐって進むと本殿方面の参道になります。
右手には宝物殿があります。
本殿方面の参道終点には随神門があり、この門を越えると拝殿が姿を現します。

弥彦神社

御社殿
旧本殿址にあった社殿は明治45年に門前町から出た火の延焼に遭って炎上してしまいました。
このため新社殿が大正5年に再建されました。

弥彦山ロープウェイと奥宮
奥宮へのアクセスは、山麓駅から山頂駅までを約5分で結ぶ弥彦山ロープウェイを利用すれば簡単です。
越後平野を眺め空中散歩を楽しみながら奥宮をめざしてみましょう。
天気が良いと佐渡が見えます。

◆弥彦温泉街

弥彦と言えば、やはり温泉ですね。
そして、この弥彦温泉には様々な伝承があります。

弥彦山周辺には、平安時代に大江山に住んでいた鬼・酒呑童子(しゅてんどうじ)の出生伝説が、また彌彦神社門前町の旧家林部宅の裏には、「聖人清水(しょうにんしみず)」と呼ばれる井戸があり、浄土真宗の開祖・親鸞聖人にまつわる伝承があります。

空彌彦神社の北にある宝光院の阿弥陀堂に安置される妙多羅天女像には、鬼ババアの伝承があります。
空を飛び悪行をおこなった「弥彦の鬼婆」なるものが居て、高僧・典海大僧正により回心し、妙多羅天女(みょうたらてんにょ)になったそうです。

ほかにも、キツネの恩返し、かまいたち伝説など…妖怪が好きな人ははずせないですね。

そして、弥彦公園内にある湯神社には、弥彦温泉発祥の伝説があります。

昔、弥彦に権九郎という猟師が住んでいました。
ある秋の日、朝早くから弥彦山で狩りをしましたが、何も取れず、疲れ果ててしまいました。

すると、突然 大きな羽音と共に一羽の山鳥が飛び経ちました。
権九郎は矢を放ち、矢は山鳥に当たりましたが、致命傷にならず、そのまま飛び去ってしまいました。
山鳥の飛び去った方向に進むと、きれいな池に辿り着きます。

権九郎は、喉を潤そうと草をかき分け池に近寄ると、その池はなんと温泉でした。鳥や獣たちが湯を飲んでいたのです。

権九郎は驚き、茫然と光景を眺めていました。
我に返ると、衣を脱いで、静かに入浴しました。
湯加減は抜群で、疲れが取れ、山中で受けたすり傷なども治ってしまいました。

その後、権九郎の話を聞いた村人たちは池に向かい入浴しました。
やがて弥彦の霊泉と言われるようになり、大きく賑わいました。

色々な伝承の詳細を温泉街で調べてみるのも面白いでしょう。

◆弥彦神社の基本情報
住所:新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦2887-2
電話番号:0256-94-2001
アクセス:弥彦駅より神社まで約1km 徒歩15分程
弥彦神社 公式サイト
彦根山ロープウェイ