◆貴船神社の由来
創建の年代は不詳ですが、社伝では第18代の反正天皇の時代に創建となっています。
反正天皇の時代、浪花の津(大阪湾)に黄色い船に乗った女の神様が現れました。
「われは玉依姫なり。この船の留まる所に社殿を建て、そこの神様を大事にお祀りすれば、国土を潤し、庶民に福運を与えん。」とのお告げがありました。
その船は淀川や鴨川をさかのぼり、水源地の川のそばから水の湧き出る所に船を留めました。
そして社殿を建てたのです。
これが貴船神社の奥宮になりました。
そして社名は「黄船」から「貴船」になりました。
奥宮境内にある「御船型石」は、玉依姫命が乗ってきた船が小石に覆われたものと伝えられます。
貴船の神が天降った貴船山(699m)は、現在、禁足地となっています。
神が降臨したといわれる鏡岩があります。
このことから貴船神社の神様は、樹木の生い茂った山林の神で地主神であったと推定されます。
◆貴船神社の歴史
永承元年(1046年)7月、出水により社殿が流失してしまいます。
その後、天喜3年(1055年)、現在の本宮がある場所に社殿を再建、遷座して、元の鎮座地は奥宮となりました。
貴船神社は、平安時代以降、賀茂別雷神社(上賀茂神社)の摂社となっていました。
これは天喜3年の社殿再建によるものという説がありますが、詳細な理由は分かっていません。
明治時代になり独立した神社となりました。
◆祭神について
社殿は本宮、結社(中宮)、奥宮の3箇所に分かれています。
本宮は高おかみ神(たかおかみがみ)を、奥宮は闇おかみ神(やみおかみがみ)を祀っています。
社殿では、両神は同じ神とされています。
一般に、タカオカミ神は山の水の神様で、山にかかる雲や山頂付近に降る雨など、標高の高い場所の水の神と言われています。
これに対し、ヤミオカミ神は水源地や谷間を流れる川など、若干暗い場所の水の神とされています。
結社(ゆいのやしろ)は、本宮と奥宮の間にあります。
磐長姫命を祭神とし、縁結びの神として信仰されています。
磐長姫命(いわながひめのみこと)は、古事記では石長姫(いわながひめ)となっています。
イワナガヒメは、妹のコノハナノサクヤビメとともにニニギに嫁ぎましたが、イワナガヒメは醜かったので、父・大山祇神(おおやまつみ)の元に送り返されます。
イワナガヒメには長寿の力があり、コノハナノサクヤビメには繁栄する力があります。
父・オオヤマツミは怒って、「イワナガヒメを送り返したことで天孫の寿命が短くなるだろう」と告げました。
縁結びの神・イワナガヒメが縁結びの神とされることになった伝承があります。
ニニギが、妹のコノハサクヤヒメと結婚した時、姉妹の父・オオヤマツミは、イワナガヒメも共に贈りました。
しかし、ニニギはコノハサクヤヒメとだけ結婚し、イワナガヒメはこれを恥じ、「縁結びの神として良縁を授けん」と告げ、当地に鎮まったのです。
◆貴船神社の見どころ
貴船神社は絵馬発祥の地として有名です。貴船神社では水の神が祀られているので、古代からよく雨乞いが行われました。
平安時代の頃は、晴れを願うときには白馬が、雨を願うときには黒馬が奉納されました。
奉納された馬を神馬と言いますが、実際の馬を奉納されても、小さな神社にとって馬を養うことは経済的負担が大きかったのです。
そこで馬の代わりに木の板に描いた馬が奉納されたのです。
貴船神社のおみくじは、お金を出してくじを引く物ではありません。
真っ白の紙の中から一枚を選び、境内の霊泉に浮かべると吉凶が解る「水占おみくじ」となっています。
また、平安時代の歌人・和泉式部が貴船神社に参拝すると恋が実った事から、結社は縁結びの宮として有名です。
そのほかにも、天津磐境(あまついわさか)を模して作った本宮の石庭、樹齢400年の奥宮の御神木、灯篭のライトアップなど見どころが満載の神社です。
◆貴船神社の基本情報
住所:京都市左京区鞍馬貴船町180
電話番号:075-471-2016
アクセス:叡山電鉄鞍馬線「貴船口駅」下車後、京都バス(33系統)「貴船」バス停下車。下車後徒歩約5分。
貴船神社 公式サイト
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