◆永平寺の由来と道元
永平寺と總持寺(そうじじ)は日本曹洞宗の大本山です。
永平寺の山号は吉祥山で、開山は道元です。
道元は、鎌倉時代の1200年(正治2年)、京都で生まれました。
父は内大臣久我通親(こがみちちか)、母は摂政関白藤原元房の娘・伊子(いし)といわれています。
3歳の時に父を亡くし、8歳で母を亡くしました。
1213年、道元は14歳で比叡山の座主公円の弟子になります。
比叡山で天台教学を学び、経文の「本来本法性天然自性身」に疑問をいだきます。
これを解決するために園城寺(三井寺)の公胤を訪ね、公胤のすすめにより建仁寺に行った道元は、栄西の高弟・明全の弟子になります。
1223年、24歳で道元は明全と共に宋に渡ります。
宋で天童山の天童如浄(長翁如浄)とめぐりあい、道元は如浄を生涯の師として仰ぎ、坐禅修行に励みました。
そして、悟りの境地を認められ、印可証明をうけました。
1227年(安貞元)年、28歳の道元は、5年の修行を終え、日本に帰国します。帰国後、『普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)』や『正法眼蔵(しょぼうげんぞう)』を著します。
1233年、34歳のときに、京都の深草に興聖寺を開き、本格的な僧堂(坐禅堂)を建立し、そこで坐禅修行をつづけ、また、たくさんの人に坐禅をすすめました。
興聖寺が大きくなるなると、既存の仏教勢力からの外圧が加わるようになります。
また、如浄の「国王大臣に近づかず、深山幽谷にて仏の道を行じ、仏の弟子を育てよ」との教えもあり、波多野義重の斡旋で福井県の山中に移り、傘松峰大仏寺を建立しました。
この寺が吉祥山永平寺になります。
◆永平寺の見所
七堂伽藍(しちどうがらん)
永平寺の70以上の諸堂で、七つの堂宇(山門、仏殿、法堂(はっとう)、僧堂、庫院(くいん)、浴室、東司(とうす))を七堂伽藍と呼びます。
この配置は坐禅姿を模しているとも言われています。
山門は、通常、和尚しか通ることが出来ません。
修行僧は、修業を修め下山する時以外はこの門を通れないのです。
入るだけ、一方通行の神聖なものです。
仏殿は、中央の須弥壇(しゅみだん)に阿弥陀仏、釈迦仏、弥勒仏を祀っています。
それぞれ過去、現在、未来の仏様です。
右奥壇には伽藍の守護神である大現修理菩薩(だいげんしゅりぼさつ)と土地護伽藍神(どじごがらんじん)、左側にはインドから中国に禅を伝えた 達磨大師と道元禅師様の師匠である如浄が祀られています。
欄間には、12枚の公案を基に禅宗の逸話を図案化した彫刻がはめこまれています。
法堂は、長い階段を上った最上部にあり、一般の寺院でいう本堂にあたります。
住職の説法、毎朝のお勤め、その他各種の法要が行われます。
僧堂、浴室、東司(トイレ)は三黙道場と称し、私語禁止となっています。
庫院は仏殿の東側に位置し、一般寺院の庫裡(くり)にあたります。
修行僧や来客者の食事が調理されます。
瑠璃聖宝閣(るりしょうぼうかく)
瑠璃聖宝閣は永平寺の宝物殿です。
道元禅師の大遠忌を記念して創設されました。
国宝・重要文化財などの貴重な文化財を後世に継承していくため、収蔵機能の整備を行い、一部を展示公開しています。
ピカピカの回廊
禅では、日々の生活すべてが修行です。
仕事も掃除も遊びも修業で、掃除では回廊と共に心も磨きます。
そのため、寺にある無数の階段や廊下はいつもピカピカです。
巨大な擂粉木(すりこぎ)棒
庫院(台所)前に、長さ4m、胴回り1mの大すりこぎ棒があります。
これに触れると、女性は料理が、男性はご機嫌取りが上手くなり出世するといわれています。
傘松閣(さんしょうかく)の絵天井
傘松閣の天井には、一面に230枚の絵が埋め込まれています。
鯉2枚、唐獅子2枚、リス1枚の5枚を見つけると願いが叶います。
夫婦杉
旧参道の川沿いの道を上がると、龍門の碑に続き、立派な杉が立っています。
そのなかに根元がひとつになった二本の杉があります。これを通称・夫婦杉と言います。
寂光苑(じゃっこうえん)
寂光苑には道元禅師と歴代禅師のお墓があります。
また、寂照の鐘は誰でも自由に撞くことができます。
◆曹洞宗の教え
坐禅は曹洞宗の教えの根幹で、お釈迦さまが坐禅修行中、悟りを開いたことに由来します。
禅とは、物事の真実の姿、あり方を見極め、真実に正しく対応する心を調えることです。
坐ることで、身体を安定させ、心を集中し、身、息、心の調和を目指します。
曹洞宗の坐禅は、只管打坐(しかんたざ)と言い、ただひたすらに坐ります。
坐禅は、目的を達成する手段ではなく、坐禅そのものが、仏の姿、悟りの姿なのです。
私たちは、普段の生活で自分勝手な欲望、意味のない物事に振りまわされがちです。
様々な雑念を坐禅で、様々な思いや欲を断ち切るのです。
◆永平寺の基本情報
住所:福井県吉田郡永平寺町志比5-15
電話番号:0476-22-2111
アクセス:えちぜん鉄道勝山永平寺線永平寺口駅から京福バス「永平寺」行乗車、終点下車
北陸本線福井駅から京福リムジンバス「永平寺門前」行乗車、終点下車
永平寺 公式サイト
https://www.sotozen-net.or.jp/
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